夢現  〜ユメトウツツ〜




夢を見る……




■Side K


「ここって、ホント景色良いですねー」

 周りに高い建物が無いだけだろ?

「お気に入りの場所ですか?」

 他人が来ないからな。

「ケイちゃんて、人間不信じゃないですよね」

 多分。

「実は結構、学校好きでしょ」

 なんでそう思う?

「なんとなくですよ、なんとなく」

 ふーん…。

 なあ、ここから何が見える?

「え…、校庭?」

 そりゃ、見えるだろうな。

「木と、あと海」

 何の木だと思う?

「全部ミドリの葉っぱで、わかりませんよ」

 普通の木さ。

 葉が生い茂っちまえば、みんなおんなじなんだよ。

「でも、ケイちゃんは違うんじゃないんですか?」

 そりゃ、買いかぶりすぎだろ。

「そんなことないです」

 大有りさ。

 オレはそんなたいした人間じゃないよ。

 なあ、そうだろ?

 オレは……。






■Side A


 私は、ケイちゃんが好き。ある意味一目惚れ。

 何でかって? そんなのわかんないけど、人を好きになるのに理由はいらないって、誰かが言ってなかった?

 私とケイちゃんは似てるのかな?

 それもよくわからないや。でも、一緒にいたいって思う。

 今までみたいに、またいつかケイちゃんとも別れる日が来ると思う。今は同じところにいても、遅かれ早かれ二人の道は別れるんだし。

 それでも、何て言うのかな、切れない絆?そんなものがある気がする。これも私の直感。

 卒業しても、ケイちゃんとはずっと友達でいられるような気がするよ。

 私と友達でいてよ。

「お前さ、オレじゃなくても、もっと別に適当なヤツがいるだろうに」

 適当じゃないよ。

 私はケイちゃんがいいんだよ。

 わかってる?

「んなもん、知らねーよ」

 そうだよね。だから言うんだよ。

 私はエスパーじゃないから、言葉にしなきゃ伝えられないこともたくさんあるんだよって。

 だから、友達でいてね。

「勝手にしろ」

 勝手にするよ。

 だから、私とケイちゃんはずっと友達だよ。