コンビニおにぎり
たまに、学校をサボって電車に飛び乗る。
高校の時からの私のクセ。
無性に現実から逃避したくなる。
都心とは逆に向かうその列車はガラガラで、
ぼんやりと窓の外を1時間も眺めていれば、
都会の喧騒を忘れさせてくれた
名前も知らない駅で降りて最初に探すのはコンビニ。
セブンイレブンでもローソンでも構わない。
そこでペットボトルのジュースとおにぎりを2つ買う。
紅鮭と焼たらこ、時々、梅干。
だけど今日は違う。
パックの緑茶だけを買って、
私は公園のベンチで一番日当たりの良い所を選んで座った。
『まゆさんは、おにぎりはどんな具が好きですか?』
聞かれて、私は『しゃけ』と答えた。
するとセイは冷蔵庫から瓶詰めの鮭フレークを取り出してきて、
あっという間に三角形のおにぎりが出来上がった。
一連の動作を器用にこなすセイの姿は、なんだかほほえましくて。
私は彼の作ったおにぎりを食べながら思い出し笑い。
そんな私を見ていたのは茶トラの猫だけ。
指先についた御飯粒をなめながら私は考えた。
春になったら、お弁当を持ってセイとお花見しよう。
もちろん持っていくのはコンビニおにぎりではなくて、
今度は私がにぎったおにぎりを
具は鮭とたらこと、そして梅干。