オムライス


明け方頃、空が明るくなるかならないかという時間帯。
ふと目が覚めて、狭いベッドの中、手を伸ばせばすぐ届く場所にまゆさんが居て。
僕は温もりを確かめるようにもう一度彼女の身体を引き寄せた。

「……ん」

微かな身じろぎと安らかな寝息。
眠る彼女を起こさないよう、僕はそっと頬に唇を寄せた。

もう一眠りしたらキャンディの紅茶を入れて、朝食を用意しよう。
今朝のメニューは彼女が好きだと言ったオムライス。
今度は笑わないように気をつけないと。
この前は丸一日、口を聞いてもらえなかった。

(ほんと、妙な所で子供っぽいんですよね……)

大人びた、子供のような。
僕の前で見せる表情、仕草、全てが愛しくて仕方が無い。
だから僕は彼女と共にある。
大好きなその笑顔が見れるなら、何を犠牲にしてもいいと思える。
そんな僕は相当重症。

とりあえず、彼女の好きなオムライスを作ってあげよう。
それでまゆさんが喜んでくれるなら安いもの。


この幸せが明日もあるように。
彼女が明日も僕の隣に居てくれるように。
願わくば、彼女の笑顔が永久にあるように。